『フーガはユーガ』は悲しい話だと思う(ネタバレあり)
お久しぶりです。面倒くさくて更新をサボっておりました。
おととい発売された伊坂幸太郎さんの新作『フーガはユーガ』を読み終わったので、なんか書こうかなという気分になりました。
感想は、「とても良かったけど、とてもしんどい」という感じです。
本当に良かったんですよ!
伏線回収は流石だし、色々予想しながら読んでしまう自分でも「そうくるかー」っていう展開もあり、引き込まれました。
また、伊坂幸太郎作品と言えば作品間のリンクも見どころの一つですが、今回もバッチリあります。是非楽しみにしながら読んでみてください。
「しんどかった」というのは、自分がバットエンドが苦手な人間だからです。(以下ネタバレ)
今回の話の語り手であり主人公でもある優我は、最後は死んでしまいます。
これだけ見ると「バットエンドなんだなあ」と思われるでしょうが、今日の王様のブランチで伊坂さんが書いていたことによると「淋しくて悲しい話だけれどどこか優しい感覚の残るお話が好きでした」ということでした。
きっと伊坂さんはそういうお話を書いたんだと思いますし、実際そういうお話だったと思います。
ただ、私の中では優しい感覚以上に寂しさや悲しさが勝ってしまったのです。
「どうしてだろう」と私は思いました。主人公が死んでしまう作品というならば、『魔王』や『AX』もそうです。
しかし、この二つを読んだときは、自分は読後にこれほどまでに悲しくなることはありませんでした。
そして行き着いた結論は以下のものでした。
簡単です。
主人公が死んだのが物語のラストだったから
先ほど挙げた二つの物語では、主人公が死んだあと残された人々の話が長く綴られていました。
その中で主人公が残したものを通して、死んでしまった人と間接的に再び出会うことができたのです。
しかし、今回はそれが少ない。
成長したハルタ君がやってきてくれるということはありましたが、私はそれだけでは「再び優我と出会う」という感覚を得ることはできませんでした。
再び出会うということが無かったために、優我が死んでしまった悲しみが上書きされずに読後に残ってしまったんですね。
「なんかわからないけれどとてもしんどい」という私と同じ読後感の人は、もしかしたらこういう理由かもしれないですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。周りに伊坂作品について話できる人がいないので、何かコメントをいただけたらすごく喜びます。
『フーガはユーガ』実業之日本社